ターナー色彩株式会社

   
美術手帖2013年5月

1階は2人の旧作が年代順に並ぶ。上階の個展への、導入となる場所
Sakurako HamaguchiKota Hirakawa 1987年埼玉県生まれ。2013年東京藝術大学大学院絵画専攻修士課程修了。主な受賞に12年「GOLDEN COMPETITION 2012」ゴールデン賞、13年「アートアワードトーキョー丸の内 2013」、三菱地所賞。
平川恒太 どこから来たか、どこへ行く- 春 2013
キャンバスにアクリル絵具、油彩 130×162cm
Sakurako Hamaguchi Masahiro Masuda 1991年静岡県生まれ。2010年東京藝術大学美術学部絵画科油画専攻入学(在籍中)。主な受賞に、11年「TURNER AWARD2011」未来賞、12年「TURNER AWARD2012」大賞。


増田将大 mist 2013
パネルにアクリル絵具、油彩、綿布 各182×91cm
もとは倉庫だった建物をホワイトキューブに改装して、2008年以来ギャラリーとして運営している豊島区のターナーギャラリー。8月31日から9月10日に同時期に開かれた2つの展覧会は、ビル内の3つのフロアを使ったものになった。3階では平川恒太「水のゆくえ」展、4階では増田将大「狭間」展、そして1階では平川、増田の旧作を同じスペースに展示した。平川の作品は鮮やかな色彩でキツネと人間が一体化したキャラクターがロマン主義的情景に描かれる超現実的な光景。一方の増田の作品は、霞がかった奥にひっそりとした情景が描かれる風景画だ。まったく傾向が異なる作品が、鑑賞者が階段を昇り降りするなかで何度も入れ替わる。いわゆる2人展とも違う独特な構成となった。平川は「GOLDEN COMPETITION」、増田は「TURNER AWARD」と、いずれもターナー色彩が主催する公募展の、昨年度の大賞受賞者だ。

「平川さんは大学の先輩で、よく面倒を見ていただいていました。旧知の2人ということもあって、授賞式でギャラリーの担当者を交えて顔を合わせたときに、『同じ会期でやろう』と話がまとまったんです」と増田。「あくまで個展という意識で、どんな作品を出すかは打ち合わせていません。ただ、増田君は力のある作家なので2人ともベストを尽くせばいい展覧会になるという確信はありました」と平川。

会期中に開かれたアート・ディレクターの山口裕美を招いた合同トークイベントも盛況で、2人の若い作家と多くの人をつなぐ機会となった。作品を発表し続けるには、コンペティションの受賞だけでなく、見る人、購入する人、批評する人たちとの関わりが欠かせない。そのような人の交流をつくるターナーギャラリーの企画に、これからも注目したい。 1、3、4階のフロアーが展示室。今回の展覧会では、3、4階が個展会場として、1階では2人の作品が半分ずつ展示された

竹見洋一郎=文 梶原敏英=撮影 Text by Yoichiro Takemi Photo by Toshihide Kajihara